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業務効率化の推進が招く働き方改革の失敗事例

業務効率化の推進が招く働き方改革の失敗事例_1

働き方改革を実践するために、まず、業務効率化に取り組んでいる企業は多いかと思います。業務効率を向上させる取り組みは、働き方改革を推進していくこととほぼ同義であるものの、最終的なゴールではありません。国を挙げて働き方改革へと取り組む背景には、日本の低い生産性を解消するという大きな課題があるのです。G7中、日本の労働生産性は連続して最下位にとどまり続けており、その一方で労働時間は海外水準よりも長く、忙しく働いている割に、生み出す成果や対価報酬は低いというのが現状です。そのような日本の現状を変えていくことが、働き方改革の根本にある目的になります。

しかし、そういった背景が薄れ、業務効率化によってすべての課題が解決されると誤解している企業は少なくありません。今回は、業務効率化を追求しすぎた結果、働き方改革のゴールから遠のいてしまった失敗ケースを紹介していきます。

目次

失敗ケース1:制度先行型で社内体制がついていかない

失敗ケース2:ITなどの最新インフラを活用しきれていない

失敗ケース3:業務効率化によって生まれた時間・労力が有効活用されていない

業務効率化は生産性を高めるための手段でありゴールではない

失敗ケース1:制度先行型で社内体制がついていかない

働き方改革が失敗してしまう大きな要因のひとつとして挙げられるのが、制度が先行してしまい、社内風土や実際の業務フローにおいて混乱が生じ、結局ムリ・ムダが増えるケースです。その中でも代表的なものは、残業の撤廃とリモートワークの推進です。業務効率を高める取り組みの一環として、残業を廃止したり、リモートワークを推進したりする企業は多くありますが、その大半が、見切り発車であるのではないでしょうか。残業ゼロもリモートワークも、業務が効率的に行われる体制やフローが確立し、それに伴う各種インフラも整備されてこそ、実現することです。しかし、残業を無くすことを先に決めてしまったが故、社員は時間外に自宅や社外に持ち出して仕事を行うケースが増えています。見方によっては、リモートワークが実現されているように見えるかもしれませんが、情報の持ち出しはセキュリティ面でのリスクが高いですし、きちんとした対策がないままでの、「仕方ない」定時退社や在宅作業は、業務効率化どころか、生産性を低める要因となっています。

失敗ケース2:ITなどの最新インフラを活用しきれていない

業務効率化のため、多くの企業が導入を進めているITツールやRPA/AIツールですが、導入しさえすれば業務効率が上がると思っているケースがいまだに多く見られます。CRMやERPなどを、運用方法が決まっていない状態で導入してしまい、実際の業務に合わず、結局何のために導入したのかも分からずお荷物システムとなってしまっているケースも目立っているようです。様々な業務においてIT化が進み、多種多様なソフトウェアが蔓延している中、「これさえいれておけば大丈夫」的な感覚で導入してしまうことで、結局業務フローが複雑になり、社員への負担が増すといったことへとつながってしまいます。

失敗ケース3:業務効率化によって生まれた時間・労力が有効活用されていない

業務効率化を進める上での大きな目的とされるのが、社員をコア業務に専念させることです。人材不足が深刻化する中で、企業の貴重な資産である人材は、極力収益に直結するような、創造的でより深い思考力や判断力が必要とされるような基幹事業に集中してもらおうということが、業務を効率化する上で得られるメリットであり、効率化が目指すゴールでもあるのです。しかし、ITツールやアウトソーシングを活用して業務効率を上げ、自社社員に余裕が生まれたものの、その時間と労力を有効に活用できていないケースがあります。新たに生まれた時間の使い道で典型的な失敗ケースは2つです。ひとつは、優秀な人に新たな仕事が集中し、結局、労働時間や業務負担が増加するケース。そしてもうひとつは、余った時間で新たな仕事をしたくないがために、ムダな作業を行ったり、非効率な方法で業務を進めたりするケースです。このような格差が生まれてしまうと、企業の生産性低下だけでなく、社員のモチベーション低下が進み、経営に大きな支障をきたすようになります。

業務効率化の推進が招く働き方改革の失敗事例_2

業務効率化は生産性を高めるための手段でありゴールではない

残業もなく、自由な場所と時間で生産性の高い成果を生み出し、より社員の満足度の高い企業風土を作ることが、働き方改革における理想のゴールです。次々にリリースされるITやデジタル技術を駆使したツールたちは、使う側の人間がきちんと使用目的を定義し、使いこなす力を持っていなければ、意味がありません。業務効率を重視しすぎるが故、最終的なゴールを見失ってしまわないように、自社に合った働き方改革を進めていきましょう。

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