BPO

物流アウトソーシングとは? メリットとデメリット

物流アウトソーシングとは? メリットとデメリット_1

製品を扱う企業にとって、物流部門は収益を得るために必要不可欠な存在です。ですが、様々な面で費用負担が大きい部門であることも事実です。

昨今ではIoTの急速な発展も後押しして、アウトソーシング化の動きも活発になっています。事業の成長に合わせた設備拡充や人員補充を考えると、物流のアウトソーシングを検討することは、有効な手段のひとつです。
今回は、物流部門をアウトソーシングすると、企業にとってどのようなメリットとデメリットがあるのかを解説します。
また、業者を選ぶためのポイントについても簡単にご紹介します。

(2021年3月26日更新)

必要な時に、必要な分だけお仕事をキリダシ!

目次

物流部門をアウトソーシングするメリット

物流部門をアウトソーシングするデメリット

物流部門のアウトソーシング先を選ぶポイント

物流アウトソーシングはコスト削減とリスク増大が背中合わせ

物流部門をアウトソーシングするメリット

まずは、物流部門をアウトソーシングすることで得られるメリットについてご紹介します。

コストの固定化や削減を目指すことができる

製品を保管する倉庫、荷受けや発送業務、在庫管理に商品点検など、商品を各拠点や顧客に届けるにあたり、自社にて物流業務を担っている場合、様々なコストが発生します。
そのための設備、人員、在庫管理のためのシステムを導入し、維持管理に係るコストも考えなければなりません。

アウトソーシングをすることで、これらのコストをある程度固定化することが可能です。
初期コストとしては割高感もありますが、長期的な観点で見ると、自社で負担すべきコストはしっかりと減少していきます。

また、繁忙期と閑散期の差がある場合などは、繁忙期の増量分と閑散期の減量分を見込んだ委託契約を交わすこともできます。
これによりコストの平均化や調整が容易になることも期待できるでしょう。

サービスや品質の向上を目指しやすくなる

アウトソーシング先は、いわば物流のプロフェッショナルです。
もともと持っているノウハウが豊富ですので、物流サービスの向上を目指しやすくなることもメリットと言えます。
なかには、受注、決済、ピッキング、配送などの一連の業務を請け負ってくれる事業者もおり、これらの業者へアウトソーシングすることで、顧客への細かいサービスの向上が目指すことができます。

そして、アウトソーシング化によって、自社の人的リソースにも余裕が出てくるはずです。これにより、事業そのものの成長やサービス向上に力を向けることが可能です。

足りないノウハウを補い、スピードアップを狙える

新規事業を立ち上げた直後は、自社内に物流ノウハウやインフラが足りないことも考えられます。そんな時には、まずアウトソーシングすることで、素早い立ち上げを目指すことが可能です。
物流事業者と上手に連携してプロジェクトを進めることで、自社への知見の取り込みもスムーズに進められるでしょう。

また、将来的には自社で物流をまかなおうと考えている事業であっても、立ち上げ時にアウトソーシングを活用することは有効です。
インフラやリソースの不足を恐れることなく事業を発進させることができるのも、大きなメリットと言えるのではないでしょうか。

物流部門をアウトソーシングするデメリット

では、物流部門をアウトソーシングする際に考えられるデメリットとは、どのようなものでしょうか。

見積金額を慎重に見極める必要がある

先ほどご紹介したメリットの中で、費用面がある程度固定化される、と解説しました。
確かに、償却資産や地代、人件費などを自社で全部負担するわけではなくなるので、ある程度の費用は当然軽減されます。

ですが、費用の算出方法が物流業者によって違うため、最初の見積もり段階の見極めが重要になってきます。
顧客の注文件数平均や、注文単価平均とよく照らし合わせて検討しないと、思ったより利益率が上がらないといった事象も起こりがちです。

新規事業を立ち上げた直後などは、費用が安く抑えられる業者を選びがちな傾向もありますが、そんな場合でも慎重な判断をしたいものです。

イレギュラーな対応を依頼するのが難しい

アウトソーシングを受ける物流事業者というのは、いくつかの企業の案件を請け負うことで成り立ちます。規模の大きい物流センターは、何十社単位での複数企業分の商材を取り扱う拠点となっていることがほとんどです。

そして、そのセンター自体での運用ルールやオペレーションが敷かれています。
売上規模がそこまで大きくない段階でアウトソーシングをする場合、荷物の取扱量が少ないと、物流センター側の運用ルールに則った取扱いだけしかしてもらえないかもしれません。つまり、顧客ごとに異なるきめ細やかなサービスなどが反映しづらくなってきます。
例えば、オリジナルのギフト梱包や、顧客へのレターの添付などが頼みづらくなったり、イレギュラーな依頼として追加料金を取られてしまうかもしれません。

仮に、コストを度外視してイレギュラーな依頼をすると、ヒューマンエラーなどの品質低下リスクが考えられます。
物流事業者側から見れば、大人数のスタッフに対して一律の品質で業務が遂行するように考えた作業フローを構築しているため、これを外れた運用はミスを招くリスクを伴っているからです。

また、単純に物流運用上の品質だけでなく、製品そのものの品質についても物流事業者側との認識のすり合わせを常に行う必要があります。
荷受けから出荷まで全てを任せることになると、依頼した企業側は荷受けの状況を常に見ることがなくなります。
そうすると、企業側が想定していない品質で入荷した場合でも、物流事業者の視点で見て不良品などでないと判断したら、そのまま流通させてしまうといった認識の齟齬が起こるリスクがあります。
アウトソーシングをする際に、必ず気をつけて運用ルールに盛り込んでおきたいチェックポイントと言えるでしょう。

責任の所在や業務フローが見えにくくなる

物流をアウトソーシングする場合、必ずしもアウトソーシング先の企業が物流拠点を備えているとは限りません。実際に業務を担うのは、下請けや孫請け業者であることが多々あります。そのため、依頼する企業側からはその運用フローが見えにくい、という点がデメリットとして考えられます。
また、何かしらのトラブルが発生した際に、その責任の所在が見えづらくなってしまう恐れもあります。

これらのリスクを避けるためには、契約時に業務フローを明確に定義したり、プロジェクトマネージャーは自社内に置いて、常に物流業務のチェックが行える体制を組むといいでしょう。
コストと手間の軽減だけを考えて丸投げするのではなく、物流事業者も自社の一員と考え、品質やサービス向上を共に目指せる関係を築くことが大切です。

物流部門のアウトソーシング先を選ぶポイント

ここまで物流のアウトソーシングについて、メリットとデメリットを見てきました。
では、実際にアウトソーシングを依頼する場合、どのような業者を選定すればいいのでしょうか?

1.アウトソース先の得意商材をチェックする

まずは、依頼する業者が得意とする商材が何なのかをチェックしましょう。
例えば、アパレルの流通をまかせたい場合は、アパレルの取り扱いに長けた業者を選ぶべきです。
コストが安いからといって、食品を専門にしている業者では取り合ってもらえませんし、雑貨類を扱うことが多い業者では、請け負ってもらえてもアパレルの取扱ノウハウが少ないため、トラブルの元となりかねません。

類似商材を扱う物流業者が見当たらないという場合は、近い商材を運搬した実績のある運送会社などに問い合わせて紹介してもらうという方法もあります。

2.アウトソース先の事業規模や立地をチェックする

ポイントその1を踏まえてピックアップしたアウトソーシング先の中からどこに依頼するかを判断するポイントとして、業者の事業規模が挙げられます。
例えば、委託したい商品の物流量が多い場合は、大きな物流センターを所有している大手の業者に依頼するといいでしょう。

あくまで一般的な傾向ですが、事業規模が大きいほど安いコストが期待できる反面、細かい業務構築が難しいと想定されます。
このような業者に依頼する場合は、単一商材を流通させるようなケースに向いていると言えるでしょう。

また、検品を含めた体制が整っている、消費財から重量物まで広くカバーしてくれるなど、アウトソーシング先の強みを理解しておくことが重要です。

さらに、アウトソーシング先の拠点が利便性がある立地の場合、コスト削減も期待できます。拠点所在地の確認も必要ですね。

3.見積もりや提案のタイプから判断する

見積もりをもらったり、物流事業者側から提案を受けたりした場合は、その内容がパッケージタイプなのか、オーダーメイドタイプなのかも判断材料になります。

きめ細かな配送サービスを持ちたい企業の場合は、一緒にプロジェクトを進めていけるオーダーの提案を選んだ方がいいですし、拠点間の物品移動をまかせたいならコストを優先させたパッケージを選択することも有効です。
いずれにせよ、事前に相談した依頼内容がきっちり見積もりに反映されているかの確認が重要です。

さらにはプラスアルファの提案を持っているかというのも選択材料にするといいでしょう。
いくら複数の業者から見積もりを取って比較しても、自社の望む運用が100%かなうわけではありません。どこを妥協するかは、アウトソーシング先を決定する際に必ず決断することになります。
提案の際にプラスアルファを持っている業者であれば、そこからさらに条件を詰めたり、実際に運用を始めた際に業務改善の機会を設けやすいのではないでしょうか。

物流アウトソーシングとは? メリットとデメリット_2

物流アウトソーシングはコスト削減とリスク増大が背中合わせ

当然ですが、企業にとって自社の商品は、収益を上げるために大切なものです。
物流部門にアウトソーシングを導入するということは、企業の大切なものを外部に預けるということ。その意識をしっかり持ったうえで業者選びをする必要があります。一時的なコスト削減や、品質を無視した運用になってしまわないよう、慎重な選択と判断が必要なのです。

導入の際には、しっかりとしたリスクマネジメントを行うことが、企業にとっての有益なアウトソーシング効果を生み出すということを、しっかりと覚えておきましょう。
リスクを100%除外することは無理ですので、導入前はもちろん、導入後も継続してリスクマネジメントを行うことで、アウトソーシングの恩恵を受けていきたいですね。

おすすめ関連記事:どんなケースが多い? アウトソーシングの問題点や失敗例
おすすめ関連記事:外注する際に知っておくべき請負契約と準委任契約の違い
おすすめ関連記事:IoTとの違いはどこにある? IIoTとは

必要な時に、必要な分だけお仕事をキリダシ!

-BPO
-, ,